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【タカショウ】激動のペット業界。守るべきもののために、進化を選んだマルワン。
タカショウ株式会社 取締役
佐藤隆治氏 インタビュー

神奈川・東京・埼玉を中心に17店舗を展開し、地域に根差したサービスと高いWEB集客力を強みに成長を続けてきたタカショウ株式会社。
創業から四半世紀、変化の激しいペット業界において、なぜ同社は顧客の信頼を獲得し続けられるのか。そして、創業者である佐藤隆治氏がM&Aという選択をした背景には、どのような想いがあったのか。
その歩みと現在、そして未来への展望について、お話を伺いました。
― まずは、タカショウ株式会社の現在の事業概要についてお聞かせください。
当社は1998年の創業以来、南関東エリアにおけるペットショップの運営に特化してきました。
現在は神奈川・東京・埼玉に17店舗を展開し、従業員数はパート・アルバイトを含めて86名となっています。営業は基本的に10時から19時までで、地域に合わせた柔軟な運営を行っています。
強みとしては、WEB集客に力を入れてきた点が挙げられます。現在、来店されるお客様のうち、半数以上がWEB経由です。WEB上での情報発信から接客・販売に至るまで、他社と比べても、質・対応力・提案力の点で一歩先を進んでいるという自負があります。
― 創業当初はどのようなスタートだったのでしょうか?
最初から生体販売を行っていたわけではなく、むしろ「お客様と信頼関係を築くこと」から始めました。
当時は横浜にあった取引先との関係を起点に、ペットフードや用品のデリバリー事業としてスタートしました。その後、トリミングやホテルサービスを加え、送迎専門という形で事業を広げていきました。
生体販売を始めたのは、やはり「子犬の頃からお客様と寄り添っていきたい」という想いが強くなったからです。命を預かることの重みをしっかり受け止めながら、一緒に成長していける関係性を築きたいと考えました。
―創業期にはご苦労も多かったのではないでしょうか?
そうですね。最初の1年間は資金的な余裕もなく、休みも取らずに働き詰めでした。ですが、2年目にようやく軌道に乗り始めて、「もっと多くの方に届けていきたい」と、店舗展開への決意が固まりました。
その後、オリンピック様とのご縁が生まれ、出店の機会が広がりました。毎年複数店舗を出すようになり、WEB施策への投資も本格化しました。それが今の弊社の基盤を支える要素になっています。
(写真)清潔に整備されたショップには各店多くのお客様が来店する
―急成長に伴う経営課題もあったかと思います。
はい。店舗数が10を超えるあたりから、明確な経営の壁がありました。資金繰り、人材確保、教育、運営管理……日々、どれか一つでも気を抜けば全体が崩れるという感覚でした。
ただ、何より心強かったのは、どんなに厳しい時でも、私の想いに共感し、必死に付いてきてくれたスタッフの存在です。
彼らの存在があったからこそ、経営者として「この人たちを守る仕組みをつくらなければ」と、本気で考えるようになりました。
―M&Aという選択に至ったのは、どのような背景があったのでしょうか?
大きな転機は、スタッフたちが家族を持ち始めたことです。会社の成長と同時に、従業員の人生も動き出している。ならば、彼らが安心して働き続けられる仕組みを、今のうちに整えなければならない。そう感じたのです。
事業自体は順調で、過去最高益を出していたタイミングでした。だからこそ、会社としての「次のステージ」に進むために、M&Aを選択肢として考えるようになりました。信頼している銀行の担当者に相談したところ、すぐに真摯な仲介会社を紹介いただけました。
―実際にパートナーを選ばれた決め手は何でしたか?
紹介された中で、若い代表が率いる企業と出会いました。非常にアグレッシブで、かつシナジー効果を具体的に描いているところに惹かれました。
山崎氏の初対面の印象はとてもフランクでしたが、事業に対する考え方やスタッフへのリスペクトを聞いて、「この人なら」と直感的に感じました。
M&Aとはいえ、私にとっては娘を嫁に出すような感覚でした。誰にでも任せられるわけではない。でも、この出会いは、そうした想いを乗り越えさせてくれるものでした。
(写真)従業員の皆様と佐藤氏(右)
―M&A後、どのような変化がありましたか?
私自身は今も取締役として経営に関わり続けています。責任の重みは増しましたが、それ以上に視野が広がった実感があります。
数字としても好調が続いており、M&A後も前年比で売上を超える店舗が続出しています。
また、自社では補いきれなかったノウハウや仕組みについて、的確なアドバイスを受けられる体制が整ったことで、従業員たちもより前向きに働けるようになりました。
― ペット業界の今後をどのように見ていますか?
供給過多の状況から、今後数年で競争と淘汰が進むと見ています。その中で、M&Aはさらに加速していくでしょう。
単なる規模拡大ではなく、横の連携による知見や人材のシェア、効率的な運営体制の構築といった「質的な成長」が重視されていくフェーズです。
私たちとしても、グループ全体のシナジーを高め、共に成長していく仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
― 最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
何より大切にしたいのは、「従業員が安心して働ける環境を守ること」です。
この会社は、創業時から一人ひとりの努力と情熱によって築かれてきた場所です。これからもその文化を大切にしながら、さらに洗練された企業へと進化していきたいと思っています。
今まで以上に、「まだやれる」と自分に言い聞かせながら、次のステージを目指し続けます。
読み手の心に響く経営哲学、深い人間的な情熱、そして企業の未来を見据えるまなざし——佐藤隆治氏の言葉には、企業が成長し続けるための本質が詰まっていた。
会社概要
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企業名:タカショウ株式会社(TAKASHO Co., Ltd.)
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代表者:代表取締役 山崎智輝
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創業:1998年
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所在地:神奈川県横浜市港北区新羽町4359
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従業員数:86名(パート・アルバイト含む)
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事業領域:ペット小売業(犬・猫の生体販売、用品販売、トリミングサービス)
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展開ブランド:ペットショップ「マルワン(MARUONE)」
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店舗数:17店舗(神奈川9、東京6、埼玉2)
- WEBサイト:https://maruone.com
■株式会社テイクオーバーについて
「価値ある事業をなくさない」をコンセプトに、日本全国における中小企業の事業承継問題に真正面から取り組む、承継支援・経営再生会社です。後継者不在や経営の停滞により存続が危ぶまれる企業を対象に、実質的な承継・再生の実行者として介入し、企業価値の維持・向上、ひいては地域経済の活性化に資することを目的としています。承継後は再生チームが経営を担う当事者として、グループの知見や人材・資本力を用いて、企業が本来持つ潜在的な価値を引き出し、持続的な成長へと導きます。価値ある企業を一つでも多く、後世に繋いでいく。そのひとつの想いで、今後も活動を続けてまいります。
〈事業内容〉
飲食、食品製造、ペット、アパレル事業等
中小企業の株式の取得による事業承継
経営体制の再編・組織強化支援
営業・販売戦略、バックオフィスの構造改革
グループ間シナジーの創出による成長加速