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【うなぎの寝床】このチームなら日本のものづくりや地域文化を救える
株式会社うなぎの寝床の元代表取締役、白水高広氏に事業承継インタビューを行いました。
(写真)白水高広氏
-うなぎの寝床という会社について教えてください
2012年、地域に様々な魅力的な商品がありましたが、地域にまとまって見れる場所がなかったので、民間のアンテナショップとして創業しました。
その部門と合わせて久留米絣を中心としたMONPEを自社商品化しファブレスのメーカーとしても活動をはじめ、現在では福岡県八女市で地域文化商社という業態で全国のものづくりを250件ほど取り扱いを行い、店舗とEC事業を展開しています。
グループ会社のUNAラボラトリーズは町屋を活用したcraft inn 手【te】という宿、旅行業、出版も手がけ、地域文化を伝達する企業として活動を行っています。
福岡県八女市は、八女茶の産地でありながら、八女仏壇、八女提灯、久留米絣などを保有する伝統工芸の産地です。中心街の福島地区は文化庁の伝統的建造物群保存地区に指定されており、その建物を利用して店舗として運用しています。
-どのような企業課題を抱えていましたか?
九州のものづくりだけでなく、全国のものを2017年ころから取り扱いをはじめ、八女市で2店舗目をオープン。
2021年からららぽーと福岡や、アクロス福岡などをオープンし、八女市の旧大内邸という建物の運用を市の指定管理業務として受託したりと、活動範囲も売上も広がっていきました。
店舗や売上も増えていって、活動範囲が広がっていく一方、人数が増えてマネジメント的な課題がでてきたり、ファイナンスも個人から法人として移行しなければならない時期、スピードも少人数の時よりも、合意形成が必要になり、会社として次のステップに移行をなかなかできず、それが辛かったです。
-MAを意識したきっかけとテイクオーバー社を選んだ決め手はどのようなものだったのでしょうか?
上記のように、マネジメント的な課題とスピードが遅くなったのをきっかけに、私(旧代表白水)が2022年10月に体調を崩してしまい1年半ほど休職してしまいました。
1年ほど休職した時に、このままでは様々な決断ができずに次のステップにいけないと考え、会社を事業承継することを決断しました。
複数社とトップ面談交渉を行いましたが、同業社やECに特化した業者は、地域や文化という側面から見ると、根本的に日本のものづくりや地域文化を救えるスキームと思えませんでした。
テイクオーバーはコングロマリット化・グループ化することで、日本の価値ある事業を残すというコンセプトで行っており、そのビジョンと手法に可能性を感じてグループインすることを決めました。
-テイクオーバーグループの印象はいかがですか?
譲渡前は、実態がweb等では明確にわからなかったため、不安がありましたが、テイクオーバー代表の山崎さんとやりとりして、この人のビジョンなら、日本の地域事業が残れる可能性があると感じました。譲渡後も関わらせて頂いてますが、企業に合わせて、スキームを組みながら既存の企業価値を活かしながら各社運営されている印象があります。
どの会社も長く続いてきた企業が多く、でもwebなどで情報が豊富にある企業は少ないですが、実際グループ企業を訪れると、日本に残した方がいいと思える事業やサービスが必ず存在します。とても魅力的な企業が多いと感じます。
-M&A業界は自社の業界を今度どのように考えていますか?
私たちは地域文化、地域のものづくりに関わってきた企業で、地域事業や国産の難しさを肌で感じてきました。
家業の引き継ぎにくさなども含めて、今後事業の統合やM&Aは加速していくべきであり、廃業してなくなるということが一番日本にとっても不利益だと考えています。
良いサービスや事業は引き継がれてM&Aが加速して事業承継が有効にされたら良いなと感じています。
地域事業などは、独自の商流がありますが、もっと人通りが多いマーケットがある都市圏で展開する事業者が必要だと感じています。そして、小さな事業者が廃業してくなか、統廃合を上手にしながら、コングロマリット化させて業界の事業を強くしていくことが必要だと感じています。
-最後に
譲渡後は私もブランド化フェーズでの情報整理とブランディングの担当として現在も活動させてもらっています。テイクオーバーグループで日本の価値ある事業を残すという信念を実現して欲しいです。
■うなぎの寝床について
『うなぎの寝床』は2012年7月に福岡県南部の筑後地方のものづくりを伝えるアンテナショップとして誕生し、福岡県南部の農業・工業・商業、多くの事業者と共に商品開発やブランディング事業を行ってきました。伝統的な町家が並ぶ、福岡県八女市福島の街中で約30件のつくりての商品を取り扱い、情報発信をはじめたことがはじまりです。現在は、ららぽーと福岡店、アクロス福岡店、愛媛大洲店と店舗を増やし、取り扱いのつくりても全国に広がり約250件となりました。またMONPE(もんぺ)など久留米絣を中心とした全国の繊維産地のテキスタイルを軸にした商品開発も行い、全国約100件の小売店と協働し、その魅力を伝えています。