事業継承した企業の声

ARTICLE

詳細

【犬と生活】無駄を省き、強みを強化し、社員の可能性を引き出せる場所

有限会社犬と生活の元代表取締役(現顧問)の坂口まや氏に事業承継インタビューを行いました。

(写真)坂口まや氏

-まずは簡単な事業紹介をお願いできますでしょうか?

有限会社犬と生活はDog&Cat Fashionを軸にしたペット用品の企画・製造・販売・卸を行っている会社です。恵比寿ガーデンプレイス地区に隣接したエリアは、都心でありながら静かで緑が多い落ち着いた街です。お洒落してお散歩している可愛いワンちゃんをよく見かけて嬉しくなります。

-犬と生活はドッグファッション業界を牽引してきたとお伺いしましたが、どのような想いで創業されたのですか?

「欲しいと思う可愛い首輪が日本にない!」と言う友人の思いつきから台東区根津に小さな店を構えて「犬と生活」を1996年に設立しました。ニューヨークに輸入商品の買い付けに行った時に、マンハッタンで出会う犬達がお洒落なコート(冬でした)を着ているのを見てDog Fashionに興味を持ち、帰国後、自分達でデザインした犬の洋服「犬と生活」というブランドが誕生しました。商売も製造の経験もない「何も知らない」が強みとなり、世の中に無いモノや楽しみを提案できた幸運なスタートだったと思います。

 

-今までで、一番会社が成長した時期や辛かった時期の話をお聞かせください

設立から6年、年商が1億を超えた頃が一番成長した時期ではないかと思います。好きと勢いだけでなく、知識やノウハウも蓄積し念願の「猫の暮らし」も展開をはじめ、新しい提案で市場をどんどん切り拓いていた時期でした。

一番辛かった時期は事業が大きくなって来た時、営業を一手に引き受け、リバリ働いていた社員が突然の病気でまだ幼い子供を残して亡くなってしまった事です。

(写真)繫忙期は従業員も受注につきっきりとなる

-そのような中でM&Aを意識したきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

60歳を過ぎて事業の継承を考え始めた頃に同業界からのM&Aの話がありましたが、その時は現実味が湧きませんでした。その2年後、売上改善に苦戦している中で、会社を再生させる方法としてM&Aを強く意識し始めました。

 

-多くの会社から引き合いもあったかと思いますが、テイクオーバー社を選んだ決め手は何ですか?

山崎社長の第一印象が決め手です。「さっぱりと明るく、きっぱりと意見を言う、一番大事な部分を迷いなく掴む力、そして価値観の真ん中に愛がチラ見えした」そのような印象でした。

少子化、経済の減退期に突入し、日本の中小企業はますます厳しい状況に追い込まれて行く中、強者が弱者をのみ込むのでなく、様々な会社が連携して弱点をカバーし、強みを共有し、利益を奪い合うのでなく分け合い増やす事ができる、そのようなM&Aであれば日本の中小企業も闘っていけると思います。

テイクオーバー社であれば、それが出来ると、思いました。

 

(写真)パターンから工場連携、営業までを一貫して行う

-実際に譲渡後、印象はいかがでしょうか?

まずは社内の空気が明るくなりました。改善や変化が出来ない焦りから社員にプレッシャーをかけて萎縮させ、私だけが空回りしていたのだということに、譲渡後に気がつきました。

そしてとにかく全てにおいてスピーディーです。無駄を削ぎ落し、強みを強化し、社員の可能性を引き出す。改善は大変ですが皆の表情は明るいです。グループ内の一部の企業様としかまだお話していませんが、落ち着いていて、風通しが良く、やはり明るい印象です。

 

-今後の会社のビジョンを教えてください。

まずは「犬と生活」の再生です。いろいろと反省し、学ぶ事が多い日々です。28年間喜び、涙し、走り続けて創ってきた「犬と生活」が手を離れたのは寂しいですが、生まれ変わってゆく「犬と生活」に私が貢献出来る事があるのであれば努力を惜しまない所存でいます。

ペット業界は成長のピークを越え、厳しい時代に入っています。けれども Fashionは消えない。”カワイイ”に惹かれるのは人ならではの喜びだからです。それは洋服だけではありません。ペットと生活する暮らしが熟成したからこそ、上質な快適さや自分に喜びを感じさせてくれる”カワイイ”を求めると思います。「犬と生活」は丁寧に誠実にそのニーズに応える努力を続ければ良いと思っています。

 


 

■犬と生活について

日頃のわんちゃんたちとの生活に彩りを。特別な日をより華やかにしていきたい。そして、パートナー達との大切な瞬間に『犬と生活』の製品が寄り添っていきたいという想いでペットファッションのパイオニアとして業界を牽引してきました。2004年6月にはその想いを猫ちゃんにも届けたいと「猫の暮らし」という新ブランドを立ち上げています。その後、業界ニーズの高まりから、介護製品や術後製品の開発に着手を開始。ただ商品作るのではなく、デザイン、機能性、素材、丁寧な縫製、高い品質にこだわり続けて製造を続けています。

https://with-dog.co.jp/