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【バーガリオン】意思決定のスピードが上がり、オペレーション再構築や原価改善に踏み切ることができた
SOUL GOOD COUNPANY 株式会社
代表取締役 西村周平氏
インタビュー
飲食業界が激しい変化に晒される中、大阪を拠点にアメリカンダイナー業態で挑戦を続ける一人の経営者がいる。創業から12年、テイクアウト強化やメニュー開発などを重ね、時代に応じて柔軟に進化してきた。そして2023年、M&Aという新たな選択に踏み出したことで、店舗運営や経営方針に大きな転機が訪れる。本インタビューでは、これまでの歩みと苦悩、M&Aによって得た気づき、そしてこれからの展望まで──赤裸々に語ってもらった。
―まずは御社について教えてください。
大阪を拠点に、アメリカンダイナー業態の飲食店を経営しています。営業時間は11:00〜22:00で従業員は約30名です。若手スタッフが多く、常に活気にあふれた雰囲気です。関西圏のグルメバーガー業態では古参の部類で、複数店舗展開により一定の認知を得ています。特に10代〜20代の若年層に人気です。
―大阪で飲食業を始め、ハンバーガー業態に決めた理由は?
大阪での出店は、知人から紹介された物件との偶然の出会いがきっかけでした。食文化が根づいた街であり、観光地や商業施設が密集するポテンシャルの高いエリアです。「食い倒れの街」として知られる大阪であれば、飲食で勝負できるという直感がありました。
当初は、明確な業態を決めずに「いつか飲食をやりたい」と考えていましたが、調べていく中で自然とハンバーガーに惹かれていきました。ただ当時はマクドナルドなど大手と価格で比較されがちで、個人店の価値をどう伝えるかが課題でした。そんな中、マクドナルドが「1,000円バーガー」を出したことで、消費者の価格認識が変化しました。「高くてもおいしいバーガーを求めるお客様」が存在することを感じて自信が持てました。
―飲食業界の荒波の中で、苦い経験と成長を実感した出来事は?
最も苦しかったのは2016年。兵庫県でベーカリーカフェをM&Aで取得したのですが、人材難や厨房機器の故障が相次ぎ、運営が思うようにいかず赤字が続きました。他店舗の利益も圧迫する状況に追い込まれ、最終的には1年半後に再度M&Aで手放す決断をしました。このときに経営者仲間や専門家に支えてもらい、今でも感謝しています。
意外にも最も成長を実感したのは、コロナ禍です。多くの飲食店が売上減に苦しむ中、当店は以前からテイクアウトやデリバリーの仕組みを整えていたため、比較的ダメージが少なく済みました。むしろ、良い条件の物件や人材に出会える機会も多くなり、一気に2店舗の出店に踏み切れました。
―経営の中で感じていたジレンマと、その中でM&Aという選択はどのよううにされたのですか?
経営を続けていく中で、常に感じていたのが人材と資金、タイミングのバランスの難しさです。スタッフが成長すると、新たなポジションを用意したくなります。しかし出店には多大な資金がかかり、タイミングを逃せば人材流出に繋がる。そうしたジレンマに何度も悩まされました。
M&Aを真剣に考え始めたのは、商業施設への出店が赤字に転じたタイミングでした。「このままでは限界がある」と直感し、借入や事業拡大のリスクを冷静に見つめ直しました。信頼する方からも「選択肢は多い方がいい」と背中を押されたことも、大きな後押しになりました。
―テイクオーバーとの出会い、そしてグループ入り後の変化は?
テイクオーバーグループとの出会いは、知り合いのM&A仲介会社の社長からの紹介でした。トップ面談までのスピード感が非常に早く、話してみてすぐに「ここなら安心して任せられる」と感じました。もちろん譲渡後は「今後はどうなるんだろう?」という不安もありましたが、実際は想像以上に伴走型の支援で驚きました。今あるブランドやスタイルを壊すのではなく、尊重したうえでサポートしてくれます。マネージャー陣も丁寧に対応してくれて、風通しの良い関係性が築けています。
オペレーションの再構築、人材配置の見直し、新メニューの開発、原価率の改善など。さまざまな改革に着手した結果、売上は単月で前年比120%、原価率も2〜3%改善。さらに「ツルヤ味噌」さんとの定食コラボがテレビで紹介されるなど、メディア露出も増えました。
―今後の展望と、M&A・個人としての目標はございますか?
今後は、より“付加価値”の高い商品やサービスを展開していきたいと考えています。飲食業界には、食材価格の高騰や人手不足といった構造的な課題があるものの、インバウンド需要やSNSとの親和性など、まだまだ可能性も大きいと感じています。
M&Aに関しても、今後さらに広がっていくと見ています。できれば、六次産業化──地元食材の価値を商品に変えるような事業領域も、グループ全体で取り組めると面白いですね。
最後に個人的な目標ですが、「健康管理と体力づくり」ですね(笑)。やっぱり、経営には体力が必要ですから。走り続けるために、自分の身体も大切にしていきたいです。
お客様の笑顔をつくるアメリカンダイナーは、コロナ禍の逆境を乗り越え、M&Aを通じて新たな可能性を掴んだ。スピード感ある判断力と、現場を大切にする姿勢が、組織の成長と安定へとつながっている。今後も「街を元気にする」原点を忘れず、より価値のある飲食体験を届けるべく、同店の挑戦は続いていく。
■会社概要
SOUL GOOD COMPANY株式会社
所在地:大阪府大阪市西区京町堀1丁目9番10号
代表取締役 西村周平
事業内容:グルメハンバーガーブランド「BURGERLION」の運営
■株式会社テイクオーバーについて
「価値ある事業をなくさない」をコンセプトに、日本全国における中小企業の事業承継問題に真正面から取り組む、承継支援・経営再生会社です。後継者不在や経営の停滞により存続が危ぶまれる企業を対象に、実質的な承継・再生の実行者として介入し、企業価値の維持・向上、ひいては地域経済の活性化に資することを目的としています。承継後は再生チームが経営を担う当事者として、グループの知見や人材・資本力を用いて、企業が本来持つ潜在的な価値を引き出し、持続的な成長へと導きます。価値ある企業を一つでも多く、後世に繋いでいく。そのひとつの想いで、今後も活動を続けてまいります。
〈事業内容〉
飲食、食品製造、ペット、アパレル事業等
中小企業の株式の取得による事業承継
経営体制の再編・組織強化支援
営業・販売戦略、バックオフィスの構造改革
グループ間シナジーの創出による成長加速