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【ジャミン】グループの熱量と「運営を任せてもらえる」という自由度の高さが決め手
株式会社ジャミン
坪内氏 インタビュー
渋谷区神宮前―ファッションの聖地・表参道に拠点を構える株式会社ジャミンは、自社オリジナルブランドの運営とOEM事業を柱とするアパレル企業だ。創業から34年、時代のトレンドが目まぐるしく移り変わる中でも「価格以上のクオリティ」を追求し続け、ファンの信頼を獲得してきた。
マンションメーカーが並ぶ千駄ヶ谷で事業をスタートし、自社ブランドのステップアップを目指して表参道へと移転。今ではイベントスペースとしても活用可能なショールームを有し、ブランド価値の発信拠点としての役割も担っている。今回は代表に、自身のキャリア、会社としての変遷、資本提携による変化、そしてこれからのビジョンについて話を伺った。
―事業の概要と、表参道という地を選んだ理由を教えてください。
弊社は現在、東京都渋谷区神宮前にオフィスとショールームを構え、自社ブランドのEC販売とOEM事業を展開しています。もともとは千駄ヶ谷の小さなスペースでスタートしましたが、自社ブランドのステージを上げるため、表参道という“ブランドそのもの”とも言えるエリアへの移転を決断しました。
ここには洗練されたカフェや感度の高いショップが多く立ち並び、来訪者にとっても感性が刺激される場所です。ショールームは商品展示だけでなく、イベントにも活用できる仕様にしており、ブランドの世界観を体験できる空間として機能しています。
社内の雰囲気はまじめで誠実なスタッフが多く、特に生産に関しては長年のアパレル経験者が揃っているため、品質へのこだわりは非常に強いです。お客様からも「安心して任せられる」と言っていただけることが多く、信頼関係でつながった取引がほとんどですね。
―創業の経緯と、これまでの成長について教えてください。
私はもともと服飾副資材の卸会社に勤めていましたが、その会社が倒産したのをきっかけに、付き合いのあったお客様から直接取引の約束をいただき、独立に踏み切りました。バブル崩壊の直前でしたが、勢いだけはありましたね。
当時は本当にすべて一人でやっていました。営業から商品加工、経理まですべて。家内制手工業のような状態で、納期を守るために深夜作業も日常でした。やがてOEM事業に関わるようになり、スタッフも増え、ようやく売上が軌道に乗り始めたという流れです。
印象的だったのは、109系ブランドが全盛だった時代。とにかく「追加!追加!」の連続で、スピード感が求められる中、必死に応えていました。今振り返ると、ハードでしたが活気に満ちた良い時代だったと思います。
―組織としての壁や変化もあったのではないでしょうか?
特に大きかったのは、若い世代のスタッフが増えてきたタイミングです。私たちが当たり前だと思っていた労働観や働き方と、彼らの価値観に“ずれ”を感じることが増えました。最初は戸惑いましたが、孤立しないように自分自身も少しずつ変わっていくことを意識しました。
また、OEM事業の競争環境も大きく変化しました。品質や納期に対して、より高い水準が求められるようになったため、工場とも密に連携を取り、「高品質のものしか納品しない」という姿勢を貫きました。
それでもOEMは売上は立ちやすい一方で利益率が厳しく、自社ブランドでのEC販売を立ち上げたのも、事業の健全性を保つための重要な一手でした。
―資本提携をされた背景と、グループに参加した後の印象をお聞かせください。
もともと、自社ブランドをもう一段階成長させるためには広告や広報への投資が必要だと感じていましたが、なかなか資金を投じる決断ができずにいたタイミングで、資本提携のお話をいただきました。結果的に自分たちだけでは実現できなかったステップに挑戦できる環境を得たと感じています。比較検討した先もありましたが、最終的にはグループの熱量と「運営を任せてもらえる」という自由度の高さが決め手になりました。
実際、現在の経営体制を尊重してもらいながら、的確なアドバイスをもらえる環境にはとても満足しています。失敗=出資者に迷惑をかけることになる、という意識も働き、良い意味での緊張感が生まれています。
―今後の展望をどのように描いていますか?
ブランドとしての飛躍には、発信力と露出が不可欠です。新ショールームではイベントも定期的に実施し、リアルな体験を通じた認知向上を図っています。同時に、ZOZOでの展開や広告投資を強化し、オンラインでの存在感も高めていきたいと考えています。
業界全体としては決して楽観視できない環境ですが、幸いにもニッチな分野で支持されるブランドが増えているのも事実です。当社としても、自社ブランドを主軸に、認知度を高めて「そのジャンルの代表格」になれるよう努めていきます。今後は、成功しそうなブランドには注力し、難しいと判断したブランドは見直しながら、新たな可能性を探っていく戦略で、引き続きチャレンジを続けていきたいですね。
創業から34年――。アパレル業界を知り尽くした者としての経験と、新しい世代の感性を融合させながら、ブランド価値の再構築に取り組む株式会社ジャミン。
“品質で信頼を得る”“発信でブランドを育てる”というブレない軸を持ちながら、変化する時代に柔軟に対応し続けるその姿勢は、アパレル業界におけるひとつの理想形とも言えるだろう。今後、どのようなブランドが市場を席巻し、次なる成長を遂げていくのか。ジャミンの挑戦から目が離せない。
■会社概要
株式会社ジャミン(Jammin co.,ltd)
設立:平成3年7月20日
所在地 :〒150-0001 東京都渋谷区 神宮前3-1-14 LE REVE 2F
TEL :03-5413-1731
事業内容 :EC事業/アパレル卸売業/アパレルOEM事業/店舗運営事業
資本金 :1100万
■株式会社テイクオーバーについて
「価値ある事業をなくさない」をコンセプトに、日本全国における中小企業の事業承継問題に真正面から取り組む、承継支援・経営再生会社です。後継者不在や経営の停滞により存続が危ぶまれる企業を対象に、実質的な承継・再生の実行者として介入し、企業価値の維持・向上、ひいては地域経済の活性化に資することを目的としています。承継後は再生チームが経営を担う当事者として、グループの知見や人材・資本力を用いて、企業が本来持つ潜在的な価値を引き出し、持続的な成長へと導きます。価値ある企業を一つでも多く、後世に繋いでいく。そのひとつの想いで、今後も活動を続けてまいります。
〈事業内容〉
飲食、食品製造、ペット、アパレル事業等
中小企業の株式の取得による事業承継
経営体制の再編・組織強化支援
営業・販売戦略、バックオフィスの構造改革
グループ間シナジーの創出による成長加速